|
|||||||||||||||
![]() うさぎ城に直接関係する史料はない。 『小谷村誌』は城郭関連地名一覧の中で、「うさぎ城 虫尾集落上部の南、東北向の傾斜地」と掲載している。 【左】うさぎ城全景 @(←番号は撮影位置〈周辺域地図参照〉) うさぎ城は姫川西岸の小谷村虫尾集落南方、北向きの緩斜面に位置する。周辺域は耕地跡のようで遺構と断定できるものはなく、城域もはっきりとしない。 写真は城域西側を通る林道からの眺め。 『うさぎ城周辺域地図』―立地― 姫川対岸には宮本城があるが、うさぎ城域からは死角になっており確認できない。 千国道(塩の道)姫川西岸ルートは千国から北上すると、雨中、和平を経て虫尾集落を通り、下里瀬へと向かう。 ―アクセスルート― ![]() 国道148号から虫尾集落方面へ入り、集落内を通り過ぎる。 道の両側が水田の開けた場所に出ると、左(東)側に岬状に突き出た台地部があり、その周辺が城域と推定される。 台地根元部の標高は約610m、先端部は約590m。 【左】うさぎ城のある緩斜面 A 城域から直線で約200m背後(南方)には標高676mのピークがあるが、遺構らしきものは無かった。 ―現況―
なだらかな下り斜面となっている。 【右上】台地先端部 C 内部は高さ2m近い薮の中。地面の様子はほとんどわからず。
先端部に行くほど周囲との高低差が広がっているのがわかる。そのため、台地上からの見晴らしは良い。 【右上】城域から北東方面の眺め E 姫川東岸の立山・中通の城峯・ 大峯峠物見・曽田城がよく見える。 ―感想― 宮坂武男氏は地元の古老の話として 「土塁状の台地に続いて、尾根筋が岬状に高くなっている所があり、このあたりがお城のあった場所」と記している。 1970年代の航空写真を見ると岬状の台地は確認できるものの、城域のほとんどが耕作地だったようで、遺構かどうかの判断は難しい。 当城から少し南にある千国城と同様に、街道を監視する「物見」程度のものが存在し、元々防御のための普請はほとんど行なわれなかったのかもしれない。 小谷村にはこのような防御遺構がない「城」を多く確認できるが、その理由は他地域ではすでに忘れ去られてしまった「城」の存在を小谷の方たちが伝えてきて、 『小谷村誌』が城郭関連地名として調査・記録したからであろう。 本来ならば、このような遺構のない「城」がどこにでも数多く存在したと考えたほうがよいのかもしれない。
| |||||||||||||||
|